こんにちは
秋山です。

5月に入って長雨が続きますね。まだ梅雨入りはしていないのに、造園業にとっては仕事が捗りづらい季節になってきました。

雨の中、社長が私にかけてくださった言葉、「いいか秋山、雨は降っても心は錦であると思うように」という心持で、曇った気持ちを払い 前向きに仕事へ臨んで行きたいです。

なんと安行庭苑のモンベルの夏ユニフォームが届きました!
通気性抜群で吸汗・即乾・抗菌などの機能が備わっているスーパーユニフォーム

ボディラインもすっきりと見えて、アスリートの様な風貌に。
ありがとうございます!

5月の安行庭苑は松のみどり摘みの業務が多く、早速ユニフォームを身に纏い 気合を入れて脚立に昇ります。
図-1 青々とみどりが伸びている
図-2 みどりは柔らかく手で摘みやすい状況
お客様のお庭にある9本の松の古木(図ー1から6)のみどり摘みです。

安行庭苑に入って2年目の私が、造園の作業の中では花形である"松の手入れ"をさせてもらっているということがどういうことなのか。

早く、丁寧に、美しくという安行庭苑のモットーを意識しつつ、自分の手の速さの1.5倍をイメージし、作業を行い技術をものにするべく頑張ります。

去年にみどり摘みをさせて頂いた時は掃除で手一杯でありましたが、今年は社長の指導の下、みどり摘みに専念することができました。

松のみどり摘みは、社長が松の樹勢・葉性・枝作りの段階などの状態を確認して、手入れの仕方を松ごとに変えています。

そのためしっかりと指示を聞いていなければ、社長と先輩方と息を合わせて作業を行っても仕上がりが違ってしまいます。
3 通りを意識してみどり摘み
図-4 みどり摘み後
図-5 松越しに空が透けて見える
図-6 枝ひとつひとつの通り
作業は緊張しましたが、丁度天気に恵まれ最高のコンディションの中でのみどり摘みは、とても気持ちがよかったです。

お庭から東に約100m程の距離にある川のおかげで、心地よい風を感じながら行う作業は心が洗われるようでした。

このことを振り返ると社長に薦められた本に出てきた「松風(しょうふう)」というワードを思い出します。
図-7 『松 日本の心と風景』
図-8 《聴松軒図》作者不明 東京・静嘉堂文庫美術館蔵
その本(図-7)には室町時代に禅僧の間で松風の音を聴く「聴松(ちょうしょう)」が流行していたということが書かれています。

松風の音を聞くという事は、枝葉の揺れが小さく葉ずれの音がさやさやと聞こえるものを言い、
その松風を聴くことを「聴松」と言いう。


聴松をテーマとして《聴松軒図》(図ー8)という山水画や、寺の塔頭に「聴松院」「聴松軒」など名づけられた記録もある。

さらに禅者と松の梢をわたる風が立てる音との関係を示すものとして、一休和尚(
1394~1481年 以下、一休という)が次の和歌を残している。

「心とは いかなるものをいふやらむ すみ絵にかきし 松風の音」

一休はこの和歌を通して、禅者が修行のために求める静寂を松風の背後に聴いていたのではないかと解いています。

すなわち、お客様のお庭は松風を聴く環境であり、私達はその「聴松」を感じながらお庭の手入れをしていることになります。

松の手入れが、禅の修行の一部だったとは思いもつきませんでした。

次の機会には、松の調子が目で見てわかるようになりたい。

会社にある松や自分の盆栽の松と日々対話することを楽しみの一つとしたいと思います。。

日々精進です。

秋山

参考文献:

有岡利幸『松 日本の心と風景』人文書院、1994
『茶の湯の銘 季節のことば』㈱淡交社、
2012