こんにちは、秋山です。
10月に入って気温が徐々に下がり肌寒い朝を迎える季節になりました。
10月末に私の盆栽趣味にとって嬉しいイベントがあります。

大宮盆栽美術館で、盆栽界の至宝 五葉松「日暮し」 の特別展示が 10月29日(金)~11月3日(水祝)に行われます。
この盆栽は明治大正昭和期に新潟で石油王として活躍された 中野忠太郎(1862年~1930年)が愛蔵していた盆栽で、一日見ていても見飽きないということから「日暮し」と名づけられました。

”名樹に表裏なし”の盆栽界の格言を生むほど、どこからみても美しい盆栽です。山の厳しい環境を生き抜いた時がその幹に刻まれていて格調高い雰囲気を醸し出しています。

最後に展示されたのは2017年4月に開催された「第8回世界盆栽大会ⅰn さいたま」のサブ会場だった さいたま市大宮盆栽美術館でした。

6年振りに五葉松「日暮し」公開したところ、一目見ようと盆栽愛好家等が詰めかけ大会期間中はチケットの購入のため最大40人が列をなしていたそうです。

結果、年間を通じて最も来館者数が多い5月分を上回る1万2350人の方が4日間という短期間で来場されていました。それほど影響力のある盆栽です。

今後の剪定工事や庭工事の参考にさせて頂けたらと、ぜひ私も時間があれば見に行きたいです。
幹振りが見える
緑々しい
「日暮し」から生まれた格言の”名樹に表裏なし”という言葉に、盆栽の特有の考え方が表れていると私は思います。

盆栽は表と呼ばれる”その樹にとって一番幹振りと枝のバランスが良く見える方向”をつくります。したがって茂っていて幹が良く見えない方向が基本的に盆栽の裏になります。

庭木は作りたい景色の一部として、流れや向き、全体を見ながら決めます。
表裏は作りたい庭の景色によって変わる場合があります。

以前、茶室の植栽工事でモミジを植える時に「モミジを植える方向を決め

てみなさい」と社長より言われて、自分が良く思う方向に据えた所、

「茶室から見るとその向きでは景色の流れに合わない」という指示があったことを思い出されます。

私は樹木を個と捉えていたことが茶室の景色を作る上で違っていたのです。

盆栽も景色を作るための寄せ植えなどありますが、枝ぶりの造形や、鉢を合わせるなどしてその樹一本を見せることが基本の考え方です。

この様に庭木と盆栽の双方を理解し、お互いの良い所を選んで庭作りや剪定工事に生かしていきたいと考えています。日々精進していきます。

これからまた冷え込んでくると思います。どうか皆様お体にお気をつけください。

秋山